高市内閣誕生でついに底が抜けた「サヨクの劣化」と「フェミニスト・リベラルの幼稚さ」【仲正昌樹】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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高市内閣誕生でついに底が抜けた「サヨクの劣化」と「フェミニスト・リベラルの幼稚さ」【仲正昌樹】

石破茂前首相

 

 サヨク勢力が石破氏にやめてほしくなかった理由は明らかだ。石破氏なら優柔不断なのでいろいろな要求をのませやすい、あやつりやすいし、国民からの積極的支持がなく、曖昧な態度を取るので保守層を離反させ、自民党支持者をイラつかせているので、自民党を更に凋落させるうえで都合いいと思ったからだろう。もし野党側に、かつてマドンナ・ブームを起こした土井たか子とか、政権交代のシンボルになった細川護熙のようなスターがいれば、なんだかんだ言って中途半端な石破内閣を延命させることなく、そのスターを是前面に押し立てて一挙に勝負に出たろう。

 自分たちに強い求心力がないので、マスコミを使って世論を誘導し、相手方の弱いリーダーを延命させるというのは不健全だ。というより、本当に日本のためを思って、それぞれの党や運動体の理念・目標を掲げているなら、ありえないことである。自分たちにさほど人気がないので、敵をもっと下げることで、相対的に浮上しようなどというのは、本気で国のことを考えている者の発想ではない。

 それに比べると、高市氏は、若干不正直な所はあるが、自分が日本のためになると持っているタカ派的な政策をはっきり打ち出している――若干不正直だというのは、『世界日報』が統一教会系だと知らないでインタビューを受けたなどと、自分の過去の行動について下手な言い訳をするところである。基本的には率直だと認めざるを得ない。

 自民党総裁選の間は、石破氏ほどではないがリベラル寄りで、若いので御しやすいと思われていた小泉氏の優勢が伝えられていたためか、あまり高市攻撃は目立たなかったが、公明党が総裁選後の党内人事にクレームをつけ、連立離脱をほのめかすと、それまで自民党と連立政権を組んでいたことで公明党を批判していた人たちが公明党を石破氏に代わる正義の味方にしたて、連立交渉をまとめられない高市氏は首相の器ではない、何も考えてない、高市内閣は幻に終わるなどと、実際の内幕など分からないのに憶測によるネガティヴ・キャンペーンを繰り広げた。

 船田議員(自民党)のように、公明党が連立離脱の意向を表明する以上、総裁選をやり直すべきだと、民主主義の手続きを蔑ろにする発言をする議員とそれをわざわざ取り上げるメディアがあった。有田議員(立民)は、首班指名で26名以上の造反が出るとしてその“証拠”の怪文書をXで拡散した。

 維新との事実上の連立政権で高市内閣が発足すると、今度は、代表的なフェミニストやリベラルと思われていた人たちが、具体的な政策を発表する前から、最悪と決めつけるネガティヴ・コメントを相次いで発表した。上野千鶴子氏は、「初の女性首相が誕生するかもしれない、と聞いてもうれしくない」、田嶋陽子氏は「女なら良いってもんじゃないんだよ」といった感想を述べた。社民党の福島瑞穂党首に至っては、「内閣史上、最悪の内閣になりうると思っています。極右政権、ファシスト政権という人もいますが、ものすごい極右政権ではないでしょうか」とまで言い切った。

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高市早苗著『アメリカ大統領の権力のすべて』

 

★初の女性新首相・高市早苗「政治家の原点」がここにある★

アメリカ大統領の権力のすべて』待望の新装重版

 

民主主義国家の政治をいかに動かし統治すべきか?

◎トランプ大統領と渡り合う対米外交術の極意とは?

★政治家・高市早苗が政治家を志した原点がここにある!

「日本は、国論分裂のままにいたずらに時間を食い、国家意志の決定と表明のタイミングの悪さや宣伝下手が災いし、結果的には世界トップ級の経済的貢献をし、汗も流したにもかかわらず、名誉を失うこととなった。

 納税者としては政治の要領の悪さがもどかしく悔しいかぎりである。

 私は「国力」というものの要件は経済力」、「軍事力」、そして「政治力」だと考えるが、これらの全てを備えた国家は、現在どこにも存在しない。

 (中略)

 そして日本では、疑いもなく政治力」がこれからのテーマである。

 「日本の政治に足りないものはなんだろう?」情報収集力? 国会の合議能力? 内閣の利害調整能力?  首相のメディア・アピール能力?  国民の権利を保証するマトモな選挙?  国民の参政意識やそれを育む教育制度?

 課題は随分ありそうだが、改革の糸口を探る上で、アメリカの政治システムはかなり参考になりそうだ。アメリカの政治にも問題は山とあるが、こと民主主義のプロセスについては、我々が謙虚に学ぶべき点が多いと思っている。

 (中略)

 本書では、行政府であるホワイトハウスにスポットを当てて同じテーマを追及した。「世界一強い男」が作られていく課程である大統領選挙の様子を描写することによって、大統領になりたい男や大統領になれた男たちの人間としての顔やフッーの国民が寄ってたかって国家の頂点に押し上げていく様をお伝えできるものになったと思う。 I hope you enjoy my book.」

(「はじめに」より抜粋)

◉大前研一氏、推薦!!

 「アメリカの大統領は単に米国の最高権力者であるばかりか、世界を支配する帝王となった。本書は、連邦議会立法調査官としてアメリカ政治の現場に接してきた高市さんが、その実態をわかりやすく解説している。」

ALL ABOUT THE U.S. PRESIDENTIAL POWER

How much do you know about the worlds’s most powerful person―the President of the United States of America? This is the way how he wins the Presidential election, and how he rules the White House, his mother country, and the World.

<著者略歴>

高市早苗(たかいち・さなえ)

1961年生まれ、奈良県出身。神戸大学経営学部卒業後、財団法人松下政経塾政治コース5年を修了。87年〜89年の間、パット•シュローダー連邦下院議員のもとで連邦議会立法調査官として働く。帰国後、亜細亜大学・日本経済短期大学専任教員に就任。テレビキャスター、政治評論家としても活躍。93年、第40回衆議院議員総選挙奈良県全県区から無所属で出馬し、初当選。96年に自由民主党に入党。2006年第1次安倍内閣で初入閣を果たす。12年、自由民主党政務調査会長女性として初めて就任。その後、自民党政権下で総務大臣、経済安全保障大臣を経験。2025年10月4日、自民党総裁選立候補3度目にして第29代自由民主党総裁になる。本書は1992年刊行『アメリカ大統領の権力のすべて』を新装重版したものである。

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仲正 昌樹

なかまさ まさき

1963年、広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学類教授。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。古典を最も分かりやすく読み解くことで定評がある。また、近年は『Pure Nation』(あごうさとし構成・演出)でドラマトゥルクを担当し、自ら役者を演じるなど、現代思想の芸術への応用の試みにも関わっている。最近の主な著書に、『現代哲学の最前線』『悪と全体主義——ハンナ・アーレントから考える』(NHK出版新書)、『ヘーゲルを超えるヘーゲル』『ハイデガー哲学入門——『存在と時間』を読む』(講談社現代新書)、『現代思想の名著30』(ちくま新書)、『マルクス入門講義』『ドゥルーズ+ガタリ〈アンチ・オイディプス〉入門講義』『ハンナ・アーレント「人間の条件」入門講義』(作品社)、『思想家ドラッカーを読む——リベラルと保守のあいだで』(NTT出版)ほか多数。

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